「本日の勝者は、まる公さんです」
パチパチパチパチ
「ありがとうございます。でも、いいんですか?社長」
「なんざんす?」
「僕のは、40チョイで、飯ちゃんは47cmですよ」
「いいんだよ、人生の先輩に敬意を!こんなのが
できるのも、ヤカラの道を極めた、二人なればこそさ」
「はぁ?仮にそうだとしても、勝ち負けは正しくないと」
「そのとうり!が、このゴチバトルは、オレとまる公さん
での事だから」
「なぁんだ、先に言ってくださいよ。悪いなって、
気にしちゃいました」
「社っ長」
「何かな?ピート・ペラっちょ君」
「『ヤカラ道を極めた』の話し、飯ちゃんだけですよ」
「ちげぇよ!俺じゃなくって、白井さんだよ」
「まぁまぁ、お二人とも変わらずだから」
「あっはははは、んじゃ、社長もですよ」
「あぁぁん、なんでよ?」
「言わせるんですか?『おんなじダヨォ、キャハハハァ』って」
「またそれか、ローソン・ネェちゃんの」
「ええ、一生言いますよ、社っ長」
「なんですか、それは?」
「まる公さん、知らなかったの?じゃ、いいんじゃね、言わなくって。
オレには屈辱的なんで」
「いや、事実は話さないと。俺と社長がローソンで買い物して、
いつものごとく、チョッカイ出したんですよ、社長が」
「待て!そこは違う!オレじゃねぇ!ネェちゃんが!オレに!だよ」
「まったく、往生際が悪い。で、俺もノっかたんですよ、そこへ」
「そう、ズカズカとなぁ」
「ネェちゃん、ウケちゃって、他のお客さんそっちのけで」
「はぁ、客商売としては、最低ですね」
「いや、まる公さん、そこが違うんですよ、あのネェちゃんは」
「はぁ…」
「あしらい上手で、ナゴんじゃうんですよ」
「へぇ!そりゃすごい」
「『こんなのと、しゃべんねぇ方がいいぞ、
どうしょうもねぇヤツだから』って、オレ言ったのよ」
「はははは、で、『おんなじダヨォ、キャハハハァ』に」
「いい話でしょ」
「いいですね。まだいるんですか、その方は?」
「いや、ワケありで、去ったそうだよ、突然に」
「急にです?」
「そう、あれ?いない。って具合」
「社長も知らないんです?その後」
「♪♪どこへ行ったか知らねぇな、アンタ、あの娘のなんなのさ!
港のヨーコ、横浜、横須賀〜♪♪」
「ははははは、古いのが出てきましたねぇ」
「またやっちゃいましたね、社っ長」
「もういいだろ、できる!ネェちゃん話しは。で、どうよ?儀式は?」
「ええっとですね、僕と白井さんは、『黒胡麻坦々麺』」
「すべてを知るオレは、素のラーメン。飯ちゃんが」
「酸辣湯麺す、温ったまりたかったんで」
「あぁ、やっちゃったね、飯ちゃん」
「はぁい、スゲェ辛くって、汗だくでした」
「黒胡麻のお二人は?」
「はぁ、社長の言うとうりでした。『辛い』の向こうに、何も無く」
「俺はうまかったですよ」
「おお!いいね!幸せ者だ!」
「あっはははは、俺も『温ったまる』の、目標は果たせました」
「やっぱり。『本格四川』てぇのは、こういうんかい?と、毎回思うよ」
「どうなんですかね、僕も食べた事ないし」
「いいんすよ、寒い日、オススメじゃないすか」
「ホラァ、ピート君、極めた二人の意見、割れちゃったよ」
「いや、みんながおかしいんですよ、アハハハハ」
「炒飯と油淋鶏は、うまいのになぁ。今年も変わらずか」
「あっ、それで儀式なんですか?」
「そう、試すためにさ。でもよ、バーミヤン羽生店常連のオレらじゃん、
『本格四川・日本風味』に慣れ親しんでいるから、こっちのは無理かもなぁ」
2日目の朝
「懐かしの西部ですよ、まる公さん」
「はい。でも、それは、昨日も、おんなじダヨォ」
「まだ言うか、それを」
「ハイ、ウケたんで」
「社長、俺らは向こうの、ドン突きまで行きますよ」
「こっちは、反対方向行くよ」
「じゃぁ」
「健闘を祈る」
「アハハハハ、社長もおんなじダヨォ」
「返す言葉も無し、デコちん同志だから」
「さぁ、まる公さん、きょうは、ここでお楽しみください」
「静かなること林の如く、です」
「風林火山、かい。んじゃま、火の如く、攻め抜いていただきましょう」
「きょうも45。48は置いてきましたよ」
「楽?」
「ええ!極楽ですよ!」
「けっこう!」
「バスのアタリも、林の如し」
「はい、まずいです。静かすぎますか?」
「水面がな。チョイたてば、嫌でも風が、ビュンビュンだから」
「困りますね」
「おまかせあれ、風裏あるから、この先に」
「安心しました。火の如く攻め攻めで!」
「あぁ、それ、攻めるのもさぁ、チョイ、変えてみたほうがいいよ」
「はぁ…」
「奥にブチ込んで、チャッ、チャッ、チャッ、回収、多くね?」
「ま、まあ、そう言われると…」
「そういうのが、いい日もある。が、『あれ?』の時も。
今がまさに、それだべ?」
「はぁ、ぜんぜん、アタリ無く」
「狙いどうりのナイスキャスト。だったら、置いときなよルアーを。
頃合い見て、チョコ、チョイ〜、休憩、で、スイ〜、って、ゆったりと」
「ほう」
「せっかくの静けさだから、見せて、見せて、見せぬく。
んで、ガバッ!ってこともある」
「なるほど。早すぎ?」
「そう、風林火山だから、疾(はや)きこと風の如く」
「そうか、ここは関東の川じゃない、流れも無いから、置いておける」
「だよ。動かざること山の如し。これも、風林火山さ」
「バス釣りしているとは、思いがたい話です」
「いっそのこと、立てるかい?『風林火山』の軍旗」
「ははははは、それはまたの機会に」
「と、歴史の先生みたいなこと、言ってるオレは、デコチン」
「ははははは、いえいえ、それはたまたまで。為になりましたよ、今の話は」
「おお、そうかい、んじゃ、良かった」
「たしかに、昨日話に出た、関根さんとやってる時、早かったな。
って、思えました」
「あぁ、関根さんもじょうずだからねぇ。うまい人は、特にそんな傾向があるね。
今まで、いろんな人と船乗ったけど、そんな気がすんだよ」
「あっちのお二人はどうです?」
「ヤカラ・コンビ?早いよ業師だかんね。ビュンビュン、いくから。
で、言ったんよ、『置いとけよ、見せちゃえよ』って」
「変わりました?」
「変わった。って、自分らで言ってたよ。相手は生き物じゃん、
違う時もあるよね」
「ええ、先週はコレだったのに、とか、日が出たら、雨が降ってきたら、とか」
「それ。で、結局、迷って、ノ〜バイピ〜ポ〜!オレか?」
「ははははは〜」
「まぁ、『ナイスキャストにバイト無し!』と、山根さんの迷言もあるし。
常々思うよ、まさに名言!だってさ」
「言ってたら、風が」
「よしっ!移動すっから」
「社長、本当にここだけ風裏なんですね」
「です。日によって、風向き違うけど、たいていここは、裏になるんさ」
「さっきのふまえて、これだ」
「おっ、そうだ、これ投げてなかった。オ〜リャ〜!」
チョポン
ピョコピョコ、ピョコ
「あれ?なジェですか〜?山根さ〜んの迷言か〜い。あっち投げリャ良かったか…」
シュッ
「見たぞ!よそ見から、振り返った瞬間、出た!」
「やりましたねぇ」
「アッザ〜す、ようやくだよ〜、色々のたまわったかんね。
あんだけ言っちゃって、デコチンじゃあ、説得力ゼロだし」
「おお!なんか久々に見ました」
「そうかい?オレの中では、1、2の出動回数だよ。
立ち浮きペンシル3兄弟の長兄、レッドペッパー、
『オレ塗り・チャート・燃え燃えカラー』ね」
「長!やっぱり、ここ一番で投入ですか?」
「いや、今回はダーター祭りで、長兄のこと、忘れてただけ」
「・・・・・」
「こっちは植物が、一段と多くて、釣れそうです」
「でしょ、ヤカラ・コンビが先乗りなのわかったしょっ」
「ええ」
「ウッ!緑、多いと思ったら」
「ありゃっ!アオコ?」
「寄ってみるべ」
「ウワッ!」
「さらに寄る!」
「あぁ〜あ」
「『アオコ祭り』って、白井さん、言ってたのコレだったんですね」
「そうだわ。雨が降って、うすくなったみたいだけどなぁ、コレでも」
「いよいよ来たね、一番奥まで」
「ココが?」
「はい。ヤカラ・コンビのイチオシ」
「いい感じでは、ありますが…」
「なんだい?あっ、鳥か?」
「はい、いっぱいいます、鵜が」
「あれか。オレも鵜だと思ってたけど、ちがうんよ」
「えっ!鵜じゃないの」
「ほれ、寄って見ると、小振じゃね、鵜より」
「あっ、確かに。子どもってことじゃ?」
「しみじみ見てみなよ、色も違うしヨ」
「本当ですねぇ、なんですかね?」
「おそらく、『カイツブリ』オレんちの方じゃ、
『モグリッチョッ』とも言うよ」
「チョッ!アメッチョですか?」
「がはははは、それ、我が家の、お役者ネコじゃん」
「ほう、子育て中ですか?」
「はい。思えば馬場目川に、葦がいっぱいあった時、巣もあちこちにあって、
それがまた、釣れそうなとこにあんのよ」
「アッ!そうでした。10数年に来た時、ありましたよ」
「でしょ。その時、オレだけ釣れてなくて、親鳥が一瞬巣から離れたの見て、
投げたら52cm」
「そうなりたいです」
ボフッ
「ウワッ!出たけど雷魚だっぽい!合わせない!」
ギュイ〜ン
「でも、かかっちゃった〜」
「やっぱりの、雷魚」
「デカイね、70超えてるよ」
「どうしよう」
「バーブレスなんだろ?」
「ええ」
「はずれるよ、って、すでに外れてるじゃん、網ん中で」
「ああよかった」
あとがき
「お疲れでした」
「お疲れです。社長、勝者です!」
「ですか。ようやく釣れた1匹が、でした」
「僕も竿は曲がったので、満足です」
「あさイチで釣れたから、楽勝!は、嗚呼、勘違い」
「ええ、渋すぎでした」
「先に帰ったお二人は、もう家でしょうか?」
「あっ、ヤカラ組。そうね、10時前に帰ったから」
「『きょうは特に渋い』って、言ってましたよね」
「雨が聞いちゃったかな、寒かったし」
「ええ、アオコは薄まりましたが、水温が下がっちゃいまいたか」
「と、いう事にしておくべ」
「ははははは、状況は変化すると」
「ですよ。都合よくいかないから、都合よく言い訳する」
「ウゥ〜ン」
「はい、情けないね、苦しい言い訳は」
「いや、厳しい分析としましょう」
「実際、雨無し、減水、よどみ、で、冷たい雨。条件悪すぎじゃね」
「そうですね、確かに。あしたはどうしますか?」
「初日の野池行くべ、やってないし」
「ああ、いい手ですよ。そうしましょう」
「21年目の八郎だけど、一番ひどいね、今回が」
「最悪ですか。でも、僕は楽しいです」
「おお、そりゃいいね」
「いつになく、のんびりとした釣りして、朝はホットコーヒー、
しかも、モーニングサービス付き。
日が出て暖かくなったら、アイスコーヒーですよ、こんなの初です!」
「がはははは、『船上カフェ』だかんね、オレのは」
「どれも、本格派じゃないですか」
「そう。どうせならってわけよ」
「バス釣りしつつ、ドリップコーヒー。AGFでしたっけ?」
「はい。オレの中では、ハルク・ホーガ〜ンなわけ」
「えっ?」
「イチバ〜ン!です」
「よくわかんないけど、美味いです。で、パンはあそこのですよね?」
「ご存知、雅亭(みやびてい)さんのだね」
「食べログの、地域ダントツ一位で、我家の子どもにも大人気です。
アイスコーヒーも美味かったですけど」
「だろ、常盤珈琲(トキワコーヒー)さんのだし。オレじゃ無理だから」
「もう最高です、至福の時ですよ。ちなみに、カフェに名前は?」
「おお、もちろんあるよ、らしいのが」
「どんな?」
「船上カフェ・ノーバイ」
「ははははは、いいですね!」
「そこに集う人たちを、『ノーバイピーポ〜』と」
「ははははは〜」
「もっとも、ノーバイは、オレだけって、話しもあるけどね」
「もう、言うことないです!」
「ふるさとの、山に向かいて、いいこと無し!かい」
「ええ、故郷ではないですが。僕、来年もきますよ!」
「おお!たのむよ」
「いや〜楽しい〜」
「よ〜し!撤収すっか、あしたに備えて、温泉行くべ!」
「サイコ〜!!」