アタシはアメリ。
「社っ長、またサボってる〜」
「シー、黙れ、アメッチョ!今、世紀の一瞬だから」
「ニャンですと!?」
「ほれ、あそこ、巣作り真っ最中」
「ニャン!お母さんキジ鳩!ご無沙汰ニャン」
「ダメ!それ以上、近付いちゃ」
「ニャンで?」
「警戒するじゃん」
「アタシ?」
「さよう。血が騒ぐだろう?アメッチョさんよ!」
「ウンニャ!そげんこつは、なかとですニャン」
「あのね、キミ、しょっちゅう捕まえてくるだろ、鳥」
「ウニャ、ニャ、ニャ、ニャァ〜、スズメじゃない、それは」
「いやいや、笑ってるみたいだけど『鳩が好き、美味しいから』って」
「ウニャッ!まずい」
「去年は、歩道の木に巣作りして、子育てだったじゃん」
「ニャウ、ニャウ」
「危険と感じたんじゃね、車、人、多いから」
「で、我が家のサザンカに」
「おそらく。けっこう茂ってるし、虫もいるから」
「ニャ、ニャ、ニャ、ニャ〜」
「なんだよ?そのうれしそうな声は」
「成長が楽しみじゃない」
「なんかあやしい…」
「社っ長、もう、卵温めているみたい」
「ああ、確かに」
「社っ長、観察してるの?」
「あぁ、そうなんよ。どうやら、放棄したみたいだよ」
「!?アタシじゃないから!」
「うぅぅぅん、間接的には、アメッチョさんかな」
「はぁ?」
「いつぞや、庭で喧嘩してたろ、白いオス猫と」
「ニャウゥゥ、しつこいんだよ、あいつ!アタシャ興味ないのに」
「縄張り荒らし?求婚?」
「両方」
「つまりはそれだよ。目の前で、猫が2匹暴れてたらさぁ、
子育てどころか、自分が危ない!って、事じゃね」
「アイツが悪い!アタシャ、『見守り隊』してたのに」
「ホントですかぁ!?」
「ニャス!去年は社っ長が見てて、悲しい結果だったニャン」
「うぅぅぅぅ、それを言ってくれるなよ」
(去年の出来事はこちらから)
「ニャウ、ニャウ、だから、このアタシが、しっかりと」
「なんか違うな、若鳥はどんなかなぁ?じゃねぇの」
「ウニャッ!」
「幸か不幸か、卵は無かったよ」
「ニャウニャウ、そ、それは重畳至極な」
「たぶん、来年はこねぇなぁ」
「ニャゥゥゥゥ…縄張り守り、小鳩見守り、
そのご褒美が…若鳥が…」
アタシはアメリ。
メス猫だけど、オス猫よりも、
鳩好きな、食いしんぼう猫。