「明けましておめでとうございます」

「賀正〜ン!」

「毎年恒例のやつですね。解る人も減ってますよ」

「だよなぁ‥、逝かれて久しいから」

「そろそろ新ネタ?」

「無いんだな、これが。それはさておき、今年もよろしく!だね」

「はい、こちらもよろしくお願いします。で、どこ行きます?今夜は?」

「神立高原ですね、こりずに」

「あははは、そうきましたか。まぁ、ガッツリ食べて行けば大丈夫っしょ」

「そう思ってさ。ただ、娘は行かないってよ」

「あっ、トラウマ!?」

「それ!」

「ハハハハ、無理もない。腹は空くし、リフト急だし、で、帰りはガリッガリの暗闇」

「まったく。それを踏まえ、ガッツリ腹ごしらえで、まいるよ〜」

「はは〜」

本日の登場人物


かねやん

「今季初だよ。滑れるかな?」

「大丈夫。センスは悪くないから」


「う~ん、パウダーはなさそうだし。グラトリか」

 

「雪、少なくね?かねやん」

「ええ、気温も高いっス」

「トンネル抜けると…なるかね?間も無くだけど」

「雪国ッスか?なりますよ、湯沢ですから」

「おお!確かに!それっぽくなってきた」

「あれ?社長、あれ見て。高速出口の電光掲示板」

「なんですと〜!!」

「『本日の天気・雨』って、なってますよ」

「だから、道路が濡れているわけかい?」

「の、ようで」

「参ったなぁ、空は…、レレ、星出てる!」

「じゃあ、ガリッガリじゃないですか!」

 

「到着でございます。なんか良さげじゃね?」

「はい。でも、帰る人たちが『雨だったけど、楽しかった〜』って、言ってましたよ」

「やっぱり、今年もガリッガリ!!」

「まま、行ってみましょうよ」

 

「社長、シニヤは格安ですよ」

「エ〜!やだなぁ、リフト券売り場のおネェちゃん、若いし美形ジャ〜ン」

「何を今更。しっかり、行使した方がイイですよ」

「そうお、じゃぁ。アァ、年寄り券をお願いします」

『‥?エッ、あっ、シ・シ・シニアの?』

「御意。それでござる」

『あっあっあっ、ハイ。あの〜』

「これでござろうか?通行手形的な?」

「社っ長!オネエちゃん、こまってますよ」

「なんだよ?!一瞬の出会いを、楽しく…」

「イヤイヤイヤイヤ、全然違うから」

『イエ、本当にシニアの方?かと思って‥』

「ごめんねぇ、若ぶっちゃっててェ。実は年寄り」

『イエ、そんな風には。あ、でも60歳なんですね』

「オイオイ、そんな『ジィー』と見ないで、勘違いすっから」

『ウフフフ、気をつけて、楽しんでください』

「あざぁ〜す」

「社長、後ろ並んじゃいましたよ」

「なんで?!」

「イヤイヤイヤイヤ、社っ長の勘違いで、時間くったからッス」

「こりゃ失敬。でも、つかみはオッケイ牧場!だろ?」

「ええ、ワシづかみ!って、そんなわけ無ェ!!」

 

「ここまで長かったね、かねやん」

「はい、全部社長のせいですから」

「準備体操も完璧。サッサと行くよ!かねやん」

「見てましたよ、おネェちゃん。社長の体操っぷり」

「勘違いじゃねぇな!!」

「イエイエ、完璧な、これ以上無い、最上級の勘違いッス」

 

「かねやん、今年はコース長いよ」

「ええ、雪も良さそうッス」

「かなぁ。よ〜し、今季一発目、行ってみよ〜」

 

ガリガリガリガリ

バリバリバリバリ

ガタガタガタガタ

 

「かねやん、オレ帰りたい」

「俺もっス」

「最低だよね、カチコチで。足がイタタタだよ」

「ええ、しかも、モーグルコースなんか、行くからですよ」

「スマン、間違えた。なので、もう一回だけ、行こう」

「マジすっか!?」

 

ガリガリガリガリ

バリバリバリバリ

 

「足、イテテテェだけど、さっきより調子出てきた」

「ですね、もう一回ッスか?」

「おお、望むところだ」

 

 

「社長、帰る気、無くなったっしょ?」

「なんで?」

「クルクル、始めちゃったし、速ぇし」

「そうなんだよ、思い出しちゃったねぇ」

「じゃあ、まだ行くしょっ?」

「やる!が、その前に休憩するべ」

「イイ意見です!」

 

あとがき

「もう!無理!かねやん、あがるべ、9時過ぎたし」

「はい。俺もダメっス」

「お疲れでしたぁ〜」

「でしたぁ。やっぱり、最後のコースは最低でしたね、社長?」

「まったく!前にいたスキーヤー3人も、恐る恐る降りてたよね」

「はい。俺もっスけどね」

「いやいや、みんなだろ。昼間の雨が効いてるよ」

「一発目がこれじゃ、今年もダメ?」

「なんかねぇ、そんな気がしてきた」

「社長、来週は3連ちゃん、でしょ?」

「です。心配だよ。ホントは、きょう、一緒に来ようかと、思ってたのよ」

「初心者の人っスか?」

「そう」

「よかったっスねぇ、来なくて。大っ嫌いになりますよ」

「まさに、まさに!娘も含めて、来なくて正解」

「エッエ〜!?そうは見えなかったっスよ、社長は」

「あら?見てたのねぇ〜!」

「なんですか?それは」

「大御所、都はるみさんだね、知らないの?」

「わかりません。けど、スゲェ楽しそうなのは、わかりましたよ」

「たいへん楽しめました。残念なのは、パークに行く体力が、残っていなかった」

「エッ〜!?見えませんでしたよ、そうは」

「本音を言えば、ヘロヘロでした」

「ホントっスか。じゃあ、腹も空きましたね?」

「はい、オニハラ・スキー。ロシアからきました〜」

「また、わかんねえこと、言いだして」

「じゃ、鬼原 空之介〜、武州浪人でござる」

「社長、帰りましょ、サッサと」

「あれっ?無反応なわけね」

「ええ、長くなるんで、社長のは」

「そよか。だよね。じゃ、帰りはバーミヤンでガツ〜ンと」

「おっ、イイっスね」

「じゃあ、また来週〜!雪、降ってくれ〜!!」

「期待うすっ」